テミルカーノフ&ロイヤル・フィルによるハチャトゥリアンの≪スパルタカス≫と≪ガイーヌ≫の抜粋版を聴いて

テミルカーノフ&ロイヤル・フィルによるハチャトゥリアンの≪スパルタカス≫と≪ガイーヌ≫のそれぞれの抜粋版(1983,85年録音)を聴いてみました。

ハチャトゥリアンの音楽が持っている、逞しさや、鮮烈さや、骨太な性格や、更には抒情性に満ちたロマンティシズムや、といったものが良く表されている演奏となっています。頗る明快でもある。そんなこんなが、なんとも痛快。
オケを豪快に鳴らしていきながら、ダイナミックで躍動感に満ちた音楽が奏で上げられています。そのようなこともあって、煽情的でスリリングで、「血湧き肉躍る興奮」を味わうことのできる演奏となっている。
その一方で、必要以上に土臭い音楽になっていたり、野放図に過ぎたり、といったようなことはなく、ある種の洗練味が感じられるところが不思議でもある。この辺りは、テミルカーノフの音楽センス故のことなのでしょう。豪快で、奔放でありつつ、端正であり、理性の働いている演奏が繰り広げられているのであります。しっかりと手綱を引きながらの演奏となっていて、とてもスッキリとしている。そのうえで、抒情的な美しさを湛えている箇所では、十二分にロマンティックでもある。

難しいことを考えずに、ハチャトゥリアンの音楽の魅力をストレートに味わうことのできる、素敵な演奏であります。