ベルグルンド&ボーンマス響によるR=コルサコフの≪金鶏≫組曲を聴いて
ベルグルンド&ボーンマス響によるR=コルサコフの≪金鶏≫組曲(1975年録音)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音盤での鑑賞になります。
繊細にして、精妙な演奏が展開されています。それ故に、端正であり、ピュアな美しさを湛えている。そのような点が、いかにもベルグルンドらしい。
オペラから素材を抜粋しながら演奏会用組曲に仕立てられた作品であるだけに、ドラマティックな要素や、ロマンティックな要素が採り入れられている音楽となっていて、そのような性格も、シッカリと描き出されている演奏になっています。力感に不足はない。生き生きとした表情をしてもいる。終曲のクライマックスなどは、十分に輝かしくもある。
そのようなことを認めたうえで、やはり、ベルグルンドならではの抒情性が優っている演奏だと言いたい。決して大袈裟な表現が採られるようなことはなく、真摯な態度を貫きながら奏で上げてゆく。しかも、息遣いは自然であり、かつ、豊かでもある。
そのような演奏ぶりによって、作品の魅力が、等身大の形で伝わってくる。しかも、端正で、美しい姿をしながら。
ベルグルンドの音楽性の豊かさや、誠実な人間性や、といったものが反映されている演奏。そんなふうに言いたい。そのうえで、作品の魅力を存分に楽しむことのできる演奏となっている。
なんとも素敵な演奏であります。