ミュンシュ&ボストン響によるチャイコフスキーの≪ロメオとジュリエット≫と弦楽セレナードを聴いて

ミュンシュ&ボストン響によるチャイコフスキーの≪ロメオとジュリエット≫と弦楽セレナード(1961,57年録音)を聴いてみました。

途轍のないまでに推進力に満ち溢れている演奏となっています。畳み掛けてくるような勢いに、聴いていて圧倒される。それは、ここでの両曲での演奏に当てはまる。
熱くて、逞しくて、骨太で、力強さに溢れている演奏ぶりが示されています。頗る煽情的でもある。更には、音楽が地響きを立てながら驀進しているかのようでもある。音楽がうねりにうねっている。
そのうえで、あちらこちらで、火花が散っている。聴いていて、目がクラクラしてきそうなまでに輝かしくもある。しかも、エネルギッシュな佇まいのその向こう側から、極度なまでのロマンティシズムが滲み出ている。頗る剛毅であり、ある種、一本気だと言えそうなのですが、感興豊かであり、艶美でもあるのです。
これらのことは、いつもながらのミュンシュの流儀だと言えるのでしょうが、曲がチャイコフスキーであるだけに、いつにも増して、そのさまがピタッと曲想に合っているように思えます。

なんとも爽快であり、かつ、痛快な演奏であります。そして、他の演奏からは得難い魅力を備えている演奏だとも言いたい。しかも、ミュンシュとチャイコフスキーとの相性の良さが、迸り出ている演奏だと言えそう。いや、両者の幸福な邂逅だと言いたくなる。
いやはや、これはもう、途轍もないほどに素晴らしい演奏であります。