シュタイン&ウィーン・フィルによるウェーバー集を聴いて
シュタイン&ウィーン・フィルによるウェーバー集(1977年録音)から、下記の4曲を聴いてみました。
≪舞踏への勧誘≫
≪オイリアンテ≫序曲
≪精霊の王≫序曲
≪アブ・ハッサン≫序曲
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音盤での鑑賞になります。
堅実にして、優美な演奏が繰り広げられています。前者の印象はシュタインの、後者の印象はウィーン・フィルに依るところが大きいのではないでしょうか。と言いつつも、両者の美質が融合された結果であるとも言えそう。そのうえで、格調の高さが感じられる。
≪舞踏への勧誘≫では、まさに優美な音楽世界が広がっています。華美であると言うよりも、落ち着きがあって、凛々しさの感じられる美しさが漂ってくる。決して大はしゃぎするような音楽にはならない。
しかも、必要十分な逞しさを備えている。それは、骨太感に繋がるようなもの。そのために、決して華奢な音楽になっていません。
序曲での演奏でも、似たようなことが言えましょう。序曲だと言って、過度に弾けるようなことはありません。そこには、奥ゆかしさのようなものが感じられもする。
それでいて、十分に生き生きとしている。それは、序曲での演奏においては、不可欠だと言えそうなものであるだけに、流石だと言いたくなる。そのうえで、≪舞踏への勧誘≫のとき以上に、逞しさが滲み出ている。劇的な雰囲気にも不足はない。
大見得を切るようなことは全くなく、作品を等身大の姿で描き上げてくれている演奏。そんなふうに言いたくなります。
なんとも素敵な演奏であります。