ガーディナー&オルケストル・レヴォリュショネル・エ・ロマンティークによるベルリオーズの≪イタリアのハロルド≫を聴いて
ガーディナー&オルケストル・レヴォリュショネル・エ・ロマンティークによるベルリオーズの≪イタリアのハロルド≫(1994年録音)を聴いてみました。
明快にして、力感に溢れている演奏となっています。
音の輪郭線がクッキリとしている。それは、オリジナル楽器を使用しているオケの特性でもありましょう。とは言え、ガーディナーの音楽づくりが、決して鋭角的ではないのが、私にとっては実に好ましい。ふくよかというのとは違うのですが、音のエッジを立て過ぎず、過度なアタックを施さず、そのうえで明瞭な音を引き出してくれている。とてもスッキリとしてもいる。更には、オリジナル楽器系の指揮者にありがちな攻撃的でエキセントリックな素振りを、一切見せないところがまた、私には嬉しい限り。
と言いながらも、響き渡っている音楽は、実にヴィヴィッドなもの。エネルギッシュであり、スリリングでもある。そして、起伏に富んでいる。その辺りが、ベルリオーズの意欲的な作風には誠に似つかわしく、ストーリー性を備えているこの作品での演奏として好ましい。しかも、空回りするようなことが微塵もないのが、なんとも見事であります。それもこれも、ガーディナーの音楽性の豊かさゆえだと言えましょう。
風変わりな体裁をしていて、地味な存在だとも言えそうな交響曲ですが、作品の魅力を存分に感じ取ることのできる、聴き応え十分な、素敵な素敵な演奏であります。