カラヤン&ベルリン・フィルによるオネゲルの≪典礼風≫と交響曲第2番を聴いて

カラヤン&ベルリン・フィルによるオネゲルの≪典礼風≫と交響曲第2番(1969年録音)を聴いてみました。

なんとも充実感いっぱいな演奏が繰り広げられています。
筆致がとても逞しく、かつドラマティックな演奏。雄渾な演奏となっている。壮麗でもある。彫琢が深くもある。矍鑠とした音楽が奏で上げられているとも言いたい。
なかんずく、≪典礼風≫の最終楽章では、頗る雄大で、荘重な音楽が鳴り響いています。
しかも、全編を通じて、磨き上げが実に丹念で、手触りが滑らかで、流麗なフォルムをしている。そう、逞しくて力強いにも拘わらず、荒々しい演奏となっている訳ではないのです。スマートで、艶やかで、端麗。華やいだ音楽となってもいる。そして、煌びやかさが感じられもする。色彩豊かで、精妙でもある。
逞しくて壮麗、かつ、色彩鮮やかといったような性格は、オネゲルの音楽の特徴であると言えましょう。そのようなものをベースにしながら、「カラヤン色」で染め上げられた演奏となっている。
全体的に、ズシリとした手応えのある音楽が鳴り響いている。そう、浮ついていたり、感覚的に傾いていたり、といった音楽にはなっておらずに、腰の据わった音楽が奏で上げられているのであります。更に言えば、第2番では、頗る峻厳な音楽が奏で上げられている。

カラヤン&ベルリン・フィルの美質が滲み出ている演奏。そして、ユニークな魅力を湛えている、素敵なオネゲル演奏。
そんなふうに称えたくなります。