マタチッチ&フィルハーモニア管によるグラズノフの≪ライモンダ≫抜粋を聴いて

マタチッチ&フィルハーモニア管によるグラズノフの≪ライモンダ≫抜粋(1956年録音)を聴いてみました。
16のナンバーが抜粋されており、演奏時間は32分ほど。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音盤での鑑賞になります。

グラズノフの作品ならではの、豪華絢爛で華麗な音楽世界が広がってゆく演奏が展開されています。
その一方で、マタチッチらしい骨太な演奏となっている。ドッシリとした構えをしていて、揺るぎない音楽が奏で上げられています。悠揚迫らぬ音楽だとも言いたい。曲調に応じて、音楽を豪快に掻き鳴らしてもいる。
とは言うものの、決して重ったるい音楽になっている訳ではありません。武骨なようでいて、瀟洒な音楽が鳴り響いている。洗練味を帯びてもいる。軽佻といったものにはなっていないものの、聴き手の心を軽やかにしてくれる演奏となっている。夢想的であり、ロマンティックな雰囲気にも事欠かない。それがまた、この作品の性格に相応しい。
そのうえで、誠に真摯な演奏が展開されている。音楽が浮ついたものになるようなことは皆無で、ただ単にムード溢れる音楽として鳴り響かせるのではなく、彫りの深い演奏が繰り広げられています。更には、「グラン・アダージョ」などでは、実に気宇の大きな音楽が奏で上げられている。そういった辺りもまた、いかにもマタチッチらしいところだと言えましょう。

この作品の魅力と、マタチッチの魅力の双方を存分に味わうことのできる、充実感タップリな、そして、なんとも素敵な演奏であります。