カイルベルト&ベルリン・フィルによるブルックナーの交響曲第9番(1960年 ザルツブルク音楽祭でのライヴ)を聴いて

カイルベルト&ベルリン・フィルによるブルックナーの交響曲第9番(1960年 ザルツブルク音楽祭でのライヴ)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音盤での鑑賞になります。
剛直にして、重厚な演奏が繰り広げられています。ブルックナーに相応しい気宇の大きさや壮麗さを備えてもいる。そして、カイルベルトならではの堅固な音楽が奏で上げられている。
とは言うものの、特に前半の2つの楽章においては、やや速めのテンポが採られていることもあって、足取りは決して重々しいものではありません。或いは、多くのカイルベルトによる演奏にありがちな、朴訥としていたり、ゴツゴツとした手触りをしていたり、といった趣も薄い。むしろ、流麗な演奏ぶりだと言えそう。それは、ベルリン・フィを指揮していることに依るところが大きいのではないでしょうか。流れが滑らかであり、かつ、充分に輝かしい音楽が鳴り響いているのであります。燃焼度が高くもある。更には、第2楽章のスケルツォでは、推進力に溢れたものとなっている。
それでいて、華美な音楽になっていない。音楽全体からズシリとした手応えが感じられます。ケレン味がなくて、毅然としている。そのうえで、気魄の漲った演奏が展開されている。ブルックナーにしては、あからさまな熱気を帯びていると言えそう。しかも、外面的なものではなく、率直な心情の吐露なのだ、といった形で。最終楽章の第2主題などで顕著なのですが、切実たる歌が聞こえてきたりもする。
そんなこんなによって、実に立派な、そして、聴き応え十分な演奏となっています。感覚的な面での充足度が高くもある。
カイルベルト&ベルリン・フィルというコンビならではの、独自の魅力を湛えているブルックナー演奏。そんなふうに言いたい。





