ドホナーニ&クリーヴランド管によるヤナーチェクの≪タラス・ブーリバ≫を聴いて

ドホナーニ&クリーヴランド管によるヤナーチェクの≪タラス・ブーリバ≫(1989年録音)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音盤での鑑賞になります。

スッキリと纏め上げられている演奏であります。筋肉質で、硬質な音楽が鳴り響いている。
この曲と≪シンフォニエッタ≫に関しては、クーベリック&バイエルン放送響盤と、マッケラス&ウィーン・フィル盤が、マイベスト。実に鮮烈な演奏が繰り広げられています。その両盤と比べると、この演奏は、随分と透明度の高い演奏になっている。
と言いつつも、推進力は充分。音楽がうねっている。エネルギッシュでもある。それでいて、煽情的にはなっていない。誠に理性的な演奏が展開されています。それだけに、純音楽的な美しさが漂っている。凛々しくもある。
しかも、頗る精緻。そのことが、この演奏の凛々しさを引き立ててくれています。

ドホナーニ&クリーヴランド管のコンビは、充実度の高い演奏を数多く音盤に刻んでくれていますが、この演奏もまた、このコンビの美質が横溢している。
この作品の魅力をジックリと味わうことのできる、聴き応え十分な素晴らしい演奏であります。