デュ・プレ&バルビローリ&ロンドン響によるエルガーのチェロ協奏曲を聴いて
デュ・プレ&バルビローリ&ロンドン響によるエルガーのチェロ協奏曲(1965年録音)を聴いてみました。
デュ・プレが20歳のときに録音したものになります。
デュ・プレらしい体当たり的な演奏が展開されています。その結果として、壮絶な音楽が奏で上げられることとなっている。
その演奏ぶりはと言いますと、極めて情熱的なもの。奔放でもある。それでいて、音楽が野放図に開放的になるようなことはなく、凝縮度が頗る高い。真摯にして、虚飾の無い演奏ぶりとなってもいる。
しかも、この作品が持つ瞑想的な雰囲気にも不足はありません。緩徐楽章となる第3楽章を筆頭として、音楽を切々と語り上げてゆく。更に言えば、全編を通じて切実な音楽が鳴り響いている。
聴いていて、心が激しく揺さぶられる演奏。そんなふうに言いたい。
とは言うものの、過度に神妙になっている訳ではありません。実に伸びやかな演奏が繰り広げられている。活力に溢れている。音楽する熱狂が迸ってもいる。しかも、音楽のフォルムが崩れるようなことは全くなく、音楽全体が逞しく息づいていている。
そんなこんなを含めて、極めて振幅の大きな演奏となっている。
そのようなデュ・プレをバックアップしているバルビローリの指揮もまた、逞しくて、内に秘めた情熱の高い演奏ぶりを示してくれています。緊密度の高いサポートぶりだとも言いたい。しかも、滋味に溢れた音楽を奏で上げてくれている。
頗る世評の高い演奏であり、録音されて半世紀以上が経った今でも、同曲の代表盤として推されることの多い当盤。そのような評価を受けるに相応しい、なんとも見事な、そして、頗る魅力的な演奏であります。