インバル&フランクフルト放送響によるスクリャービンの交響曲第2番を聴いて

インバル&フランクフルト放送響によるスクリャービンの交響曲全集から第2番(1978年録音)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音源での鑑賞になります。

インバル&フランクフルト放送響のコンビの注目度が一気に伸びたのは、1982年に録音が開始されたブルックナーの交響曲の音盤からだと言えるように思います。全ての作品において、ブルックナーの手による第1稿を採用した録音であったということも、大きな話題をさらいました。
そのブルックナーの全曲録音がスタートする前にスクリャービンの交響曲全集を制作していますが、頗る魅力的な演奏が繰り広げられています。
インバルらしい、スッキリと纏め上げられている演奏。見通しも、響きも、とてもクリアであります。しかも、スクリャービン特有の色彩感もシッカリと表出されている。とは言え、決して艶めかしい形ではなく、清々しい雰囲気を湛えながら。そう、とても端正なスクリャービン演奏となっているのであります。耽美的であるというよりも、健康的なスクリャービン。それでいて、繰り返しになりますが、充分に色彩的でもある。
そのうえで、スクリャービンの音楽が持つ「うねり」も充分。必要以上に華美になっていないものの、晴れやかで輝かしくて、絢爛豪華な味わいが過不足なく感じられる。スクリャービンのオーケストラ作品ならではの広大な音楽世界を的確に感じ取ることのできる、壮麗さを備えてもいる。
5つの楽章から成る交響曲第2番ですが、急速楽章では推進力に満ちた演奏が繰り広げられてゆく。また、緩徐楽章となる第3楽章に象徴されるように、夢幻的な雰囲気の表出にも不足はない。
そして、全編を通じて、音楽が豊かに息づいている。音楽が存分に躍動している。

聴きやすくて、その上で充実感もいっぱいな、素晴らしい演奏。
スクリャービンの作品にあまり馴染めない聴き手にも、すんなりと受け入れられる演奏として、そして、スクリャービンの音楽の魅力を身近に感じ取ることのできる演奏として、大いにお薦めしたくなります。