フリッチャイ&RIAS響によるハイドンの交響曲第95番と第98番を聴いて
フリッチャイ&RIAS響によるハイドンの交響曲第95番と第98番の2曲(1953年録音)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音源での鑑賞になります。
キリっと引き締まっていて、硬質な演奏が繰り広げられています。厳粛でもある。これらのことは特に、短調を主調とする第95番において顕著だと言えましょう。
それでいて、優美で、ピュアな美しさを湛えてもいる。この点は、第95番からも窺えるのですが、長調作品であります第98番において強く感じられます。
そのうえで、両曲ともに、キビキビと進められていて、推進力や躍動感にも不足はない。逞しい生命力が宿っている音楽となっています。精悍な表情をしているとも言えそう。
そのような演奏ぶりによって生まれる音楽は、背筋がピンと伸びたもので、端正な佇まいをしたものとなっています。凛とした美しさを湛えてもいる。そして、純度のとても高い音楽となっている。第95番の最終楽章などでは、実に凝縮度の高い演奏が繰り広げられている。その一方で、第98番の最終楽章では、決して有頂天になるようなことはないながらも、弾むような愉悦感に満ちたものとなっている。
決して愛想を振りまくような演奏ではなく、ある種、超然とした演奏ぶりでありつつも、そこから親しみやすさが感じられてくるところがまた、ハイドンの音楽ゆえなのでありましょう。
このチャーミングな魅力を湛えている2曲を、ケレン味が全くなく、かつ、味わい深い演奏を繰り広げてくれているフリッチャイ。
多くの音楽愛好家に聴いてもらいたい、聴き応え十分な、そして、格調高くて素敵なハイドン演奏であります。