カラヤン&パリ管によるフランクの交響曲を聴いてみました
カラヤン&パリ管によるフランクの交響曲(1969年録音)を聴いてみました。
これは、ミュンシュの急逝によって空席となったパリ管のシェフの座を、1969-71年の3シーズン、カラヤンが務めていた時期に録音されたものになります。そして、カラヤンによるフランクの交響曲の、唯一のセッション録音盤。
重心を低く採り、重厚な響きに彩られた、ドイツ風のフランクだと言えましょう。遅めのテンポでたっぷりと音楽を奏で上げている。構築感の強くて、色調が暗めでもある。
フランク(フランス生まれだと思われがちですが、実はベルギー生まれ)の音楽には、もともと、ドイツ的な要素も多分に含まれていますので、カラヤンが採っている演奏スタイルに対して、さして違和感を覚えることはありません。
ドイツ風のフランクの交響曲の演奏と言えば、まずはフルトヴェングラーによる演奏が思い浮かびますが、フルトヴェングラーほどには煽情的なものにはなっていません。それでいて、充分に情熱的で劇的な演奏となっている。壮麗でもある。カラヤンならではの艶やかさが感じられもする。しかも、パリ管ならではの煌びやかな響きをそこここで聞き取ることができつつ、どっしりと構えた充実した演奏が展開されている。
フランクの交響曲は、ミュンシュ盤とモントゥー盤、更にはマルティノン盤、そして、上でも触れたフルトヴェングラー盤、少しマイナーな存在かもしれませんがカンテッリ盤と、素晴らしい音盤がひしめいていますが、このカラヤン盤も、なかなかに魅力的な演奏であると思います。