ワルター&コロンビア響によるシューベルトの交響曲第5番を聴いて

ワルター&コロンビア響によるシューベルトの交響曲第5番(1960年録音)を聴いてみました。

この可憐な愛すべき交響曲を、ワルターは優しいまなざしで見つめながら、慈愛に満ちた演奏ぶりで再現してくれています。そのうえで、作品と聴き手とを、暖かく包み込んでゆく。
全体を通じて、実に気品に満ちた音楽となっています。そして、馥郁とした薫りが立ち昇ってくる音楽となっている。そのようなところも含めて、この作品にとって、誠に似つかわしい演奏であると言えましょう。
全曲にわたって、遅めのテンポを採りながら、じっくりと奏で上げてゆくワルター。そのような中でも、第2楽章で聞かせてくれる、むせぶような歌には、胸が締め付けられてくる。

聴いていて幸福感に包まれてくる、惚れ惚れするほどに素晴らしい演奏であります。