グリュミオー&ロザンタールによるサン=サーンスのヴァイオリン協奏曲第3番を聴いて
グリュミオー&ロザンタール&ラムルー管によるサン=サーンスのヴァイオリン協奏曲第3番(1963年録音)を聴いてみました。
グリュミオーらしい、甘美で、優美で、艶美で、扇情的な演奏となっています。そのうえで、必要十分な熱気が備わってもいる。音楽が存分にうねってもいる。しかも、フォルムが崩れるようなことは微塵もなく、音楽が示している佇まいもまた、なんとも美しい。暖かみがあるとともに、気高さのようなものが感じられもします。
第2楽章での、≪サムソンとダリラ≫での二重唱を思わせる音楽での演奏ぶりなど、うっとりさせられるほどの艶やかさを持っている。
そのようなグリュミオーをバックアップしているロザンタールが指揮するオーケストラがまた、まばゆいほどの明るさを持ちつつ、豪放で、かつ薫り高くもあって、誠に素晴らしい。
ヴァイオリン音楽を聴く歓びを存分に味わうことのできる、素敵な演奏であります。