バルビローリ&ハレ管によるドヴォルザークの交響曲第8番を聴いて

バルビローリ&ハレ管によるドヴォルザークの交響曲第8番(1957年録音)を聴いてみました。

音楽を聴く歓びに満ち溢れている演奏。そんなふうに言いたくなります。
力感に溢れていて、かつ、端正な演奏が展開されています。歌心に満ちている。そして、逞しい生命力に満ちた演奏となっている。情熱的で、輝かしくもある。それでいて、ケバケバしい音楽になるようなことは一切なく、清潔感のようなものが備わっている。滋味深さが感じられもする。この作品に相応しい、伸びやかさや晴れやかさを湛えてもいる。
更には、表情が自然で、かつ、多彩なものとなってもいる。それ故にと言いましょうか、颯爽としていて、鮮烈でもある。
しかも、構築感が高くて、頗る堅固な演奏ぶりが示されている。折り目正しくて、かつ、謹厳な演奏だとも言えそう。そのようなこともあって、毅然とした態度が貫かれている演奏になっているとも言いたい。
それでいて、繰り返しになりますが、十二分に熱いのであります。大きな起伏が採られていて、過剰にならない範囲でスリリングでもある。
これ以上、なにを望むことができましょうか。

どこにも迷いのない、確信に満ちた演奏。更には、バルビローリの、音楽への深い愛情や、豊かな音楽センスが感じられる演奏。そう、そこここから、人間味に溢れた暖かみの感じられる演奏となっているのであります。そのうえで、この作品の魅力が等身大に感じ取ることのできる、素敵な素敵な演奏となっている。
いやはや、なんとも見事な演奏であります。