シューリヒト&シュトゥットガルト放送響によるマーラーの交響曲第3番を聴いて
シューリヒト&シュトゥットガルト放送響によるライヴ録音を集成した20枚のCDと1枚のDVDのボックスから、マーラーの交響曲第3番(1960年ライヴ)を聴いてみました。
颯爽とした演奏が繰り広げられています。物事を、スパッスパッと言い切るような演奏ぶりが貫かられている。とても小気味よくもある。
その分、贅肉の削がれた演奏となっている。粘り気が強かったり、脂身タップリであったり、耽美であったり、といったマーラー演奏とは対極にある演奏ぶりだと言えましょう。混沌としているというよりも、整然とした音楽が展開されています。第2楽章などは、疾走感の高い音楽となっていて、実に凛々しくもある。
そんなこんなによって、マーラーの描いた音楽世界が、格調の高い形で浮かび上がってくるかのよう。粋で、洗練味を帯びてもいる。
それでいて、この作品が備えている気宇の大きさにも不足は感じられません。壮大な音楽世界が、見通し良く広がってくるような演奏となっている。しかもそれは、湿っぽさのない、硬派な流儀でもって表現されている世界だとも思える。
あっさり味のようでいて、コクの深さを備えている演奏。そんなふうにも言えるかもしれません。
実にユニークなマーラー演奏でありますが、趣き深さを湛えている、素敵なマーラー演奏であります。