ザンデルリンク&北ドイツ放送響によるラフマニノフの交響曲第3番を聴いて
ザンデルリンク&北ドイツ放送響によるラフマニノフの交響曲第3番(1994年ライヴ)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音盤での鑑賞になります。
骨太で堅固であり、かつ、生気に溢れた演奏となっています。
生命力豊かな、逞しい演奏ぶりが示されています。体幹のシッカリとした演奏だとも言えそう。それでいて、重苦しくなったり、堅苦しくなったり、といったことはない。息遣いが自然で、十分に流麗な音楽が奏で上げられている。
そのようなこともあって、主情に流されるような風情は微塵も感じられない音楽づくりの中から、ラフマニノフの作品ならではのロマンティシズムが巧まずして溢れ出てくる、といった演奏となっています。毅然としていて、表情がキリっとしている。そのうえで、風格豊かでもある。
なおかつ、ダイナミックであり、感興豊かな音楽が掻き鳴らされている。しかも、過度にならない程度に煽情的であり、音楽がシッカリとうねっている。この辺りもまた、ラフマニノフの作品を演奏するに当たっては、誠に好ましいところだと言いたい。
誠実味に溢れていて、どっしりと構えた演奏が展開されていつつも、生彩に富んだ演奏。それは取りも直さず、ザンデルリンクの美質の現れだと言えましょう。そのうえで、ラフマニノフを聴く歓びを堪能することのできる演奏となっている。
なんとも見事な、そして、とても魅力的な演奏であります。