ベーム&ウィーン・フィルによるブラームスの交響曲第2番を聴いて

ベーム&ウィーン・フィルによるブラームスの交響曲全集から第2番(1975年5月録音)を聴いてみました。
NHKホールでの伝説的な来日公演から、自国に戻って間もない時期に録音されたものとなります。

ブラームスの交響曲全集としては、ザンデルリンク&シュターツカペレ・ドレスデン盤とともに、私の中ではTop2のうちの一つとなっている全集であります。
全4曲に対してのアプローチに統一性があり、そこから生まれる演奏に出来不出来のバラつきが無い。だからこそ、全集としての価値を高めているように思うのであります。
しかも、全4曲を通じて、ウィーン・フィルの美音に酔いしれることのできる全集となっている。

さて、ここでの第2番の演奏はと言いますと、謹厳でありつつも、ふくよかさを持ったものとなっています。音楽にシッカリとした流動感を備えていつつも、堅固な構えをした音楽となってもいる。
そのうえで、雄大で、そして壮麗でもあります。充実感いっぱいな音楽が鳴り響いている。更には、この交響曲が備えている、明朗で晴れやかな性格も、存分に描き出されている。
しかも、息遣いが頗る自然。ここでのベームは、大上段に構えることなく、自然体でこの曲を奏で上げてくれていると言いたい。
そこに加えられるウィーン・フィルのまろやかで芳醇な響きが、この演奏の魅力をより一層大きなものにしてくれています。しなやかさや艶やかさを備えてもいる。「ブラームスの田園交響曲」と呼ばれることもあるこの作品では、その魅力は絶大だと言えましょう。

ベーム&ウィーン・フィルの美質に溢れていて、なおかつ、この曲の性格にマッチしている、素敵な素敵な演奏であります。