チョン・キョンファ&ムーティ&フィラデルフィア管によるドヴォルザークのヴァイオリン協奏曲を聴いて

チョン・キョンファ&ムーティ&フィラデルフィア管によるドヴォルザークのヴァイオリン協奏曲(1988年録音)を聴いてみました。

チョンらしい、パッショネートでドラマティックな演奏となっています。それでいて、ストイックで真摯でもある。
総じて、洗練されたドヴォルザーク演奏だと言えましょう。ここでの演奏からは、この作品が持つ土臭さのようなものは殆ど感じられません。そして、とても純度の高い演奏となっている。そのうえで、情熱的で、彫琢の深い演奏が繰り広げられている。と言いつつも、決して盲目的に熱くなっている訳ではありません。客観的に自己を見つめつつも、そこに熱い想いをぶつけていくような演奏。そんなふうに言えるように思えます。
そのようなチョンに対して、ムーティは、ドラマティックで豊麗な音楽を奏でながら、シッカリとサポートをしている。スケールの大きさがありつつも、息遣いが自然で、しなやかでもある。そして、歌心に満ちてもいる。

この作品の魅力を堪能することのできる、素敵な演奏であります。