ヨッフム&コンセルトヘボウ管によるシューマンの交響曲第4番を聴いて
ヨッフム&コンセルトヘボウ管によるシューマンの交響曲第4番(1960年録音)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音盤での鑑賞になります。
堅実にして、ケレン味のない演奏が繰り広げられています。
この演奏からは、シューマンならではの「狂気」のようなものはあまり漂ってこない。もっと整然とした音楽が聞こえてきます。ある種の慎ましさが感じられもする。
そのようなこともあって、聴き手を煽るような素振りは一切見受けられません。しかも、暖かみがあって、聴き手を包み込むような優しさに満ちている。ふくよかさが備わってもいる。更には、コクの深さが感じられもする。
そんなこんなに加えて、全く浮かれた様子を見せずに、真摯な音楽が展開されています。作曲者への深い敬愛を込めながら。
それでいて、決して「やわな」演奏になっている訳ではありません。必要十分に音楽が躍動している。シッカリとした生命力を備えた音楽が鳴り響いてもいる。
そのようなヨッフムの音楽づくりに対して、コンセルトヘボウ管の響きがまた、重すぎず、軽すぎず。芳醇でありつつ、適度に艶やかでもある。そのうえで、安定感の抜群な演奏ぶりが繰り広げられている。
ヨッフムによるシューマンの録音は非常に少なく、正規録音での交響曲は、これが唯一の記録なのではないでしょうか。その意味でも貴重な音源でありますが、ヨッフムならではのシューマン演奏を聴くことができるのが、なんとも嬉しいところ。
あまり広く知られていない演奏だと言えるかもしれませんが、多くの音楽愛好家に聴いてもらいたい素敵なシューマン演奏であります。