サヴァリッシュ&フィラデルフィア管によるヒンデミットの≪画家マティス≫を聴いて
サヴァリッシュ&フィラデルフィア管によるヒンデミットの≪画家マティス≫(1994年録音)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音盤での鑑賞になります。
サヴァリッシュと言えば、堅実で手堅い演奏をする指揮者というイメージが強いと思います。悪く言えば、堅物な指揮者。
しかしながら、1993年にフィラデルフィア管のシェフに就任してからというもの、良い意味でのエンターテインメント性が加わったように思います。演奏が柔軟性を帯び、艶やかで煌びやかになってきたようにも感じられる。しかも、誠実な音楽づくりをベースにしながら。
このヒンデミットも、そのような特徴がクッキリと現れているように思えます。
とても明快で伸びやかな演奏。ヒンデミットならではのシニカルでシリアスな面を残しつつも、見通しが良くて、美麗でゴージャスな音楽が奏で上げられています。そのうえで、この作曲家ならではの「構築性」もシッカリと表されていて、ズシリとした手応えが感じられる。
更に言えば、頗る生彩感を帯びた演奏となっています。オケを存分に掻き鳴らしながら、エネルギッシュにしてダイナミックな演奏が展開されている。音楽が弾力性を帯びている。そして、音楽が随所でうねっている。
聴き応え十分で、しかも、官能性もタップリな、なんとも素敵なヒンデミット演奏であります。