ミュンシュ&ボストン響によるミヨーの≪世界の創造≫と≪プロヴァンス組曲≫を聴いて

ミュンシュ&ボストン響によるミヨーの≪世界の創造≫と≪プロヴァンス組曲≫(1961,60年録音)を聴いてみました。

ミヨーの作品では、開放的な雰囲気に包まれた音楽世界が広がってゆくこととなる演奏が多いと言えそうですが、ここでのミュンシュによる演奏では、かなり厳格な顔をしたミヨーが現れていると思えます。キリっとした表情を湛えた音楽が鳴り響いている。
曖昧さは一切ない。エッジの効いた音楽づくりがなされていて、粒立ちは実に鮮やか。明快な演奏ぶりが示されています。推進力に富んでいる。そのうえで、剛毅な雰囲気が漂っている。
それでいて、堅苦しくはありません。精悍な顔つきをしていながら、ミヨーらしいユーモアが感じられもする。そして何よりも、実にホットな演奏が展開されている。バイタリティに溢れてもいる。決して悪ふざけではない、「真摯な熱狂」と呼びたくなるようなものが、ここにはある。派手に過ぎない範囲で色彩豊かでもある。この辺りは、ミュンシュならではだと言えましょう。

シリアスでありながら、ウィットにも事欠かない演奏ぶり。それはまた、ミヨーの音楽が持っている特徴でもあると言えましょう。そして、ミヨーならではの躍動感や生彩感も充分。
作品の魅力を存分に味わうことのできる、素晴らしい演奏であると思います。