シャイー&ベルリン放送響によるツェムリンスキーの≪人魚姫≫を聴いて

シャイー&ベルリン放送響によるツェムリンスキーの≪人魚姫≫(1986年録音)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音盤での鑑賞になります。

この作品は、ツェムリンスキー(1871-1942)が1903年に作曲した交響詩。後期ロマン派の薫りが残っていると言えそうな、華麗で耽美的で、眩いまでに色彩的で、陶酔感を伴う音楽となっています。更には、壮麗な音楽世界の広がってゆく音楽だとも言いたい。
演奏時間は、40分ほどの作品であります。
そのような音楽を、シャイーは明快に奏で上げてくれています。絢爛たる輝きが示されてもいる。しかも、極めて流麗で、かつ、ドラマティックで豪壮。音楽が随所でうねっている。そのうえで、陶酔感が高くもある。また、鮮烈でありつつ、爽快感を伴う音楽が鳴り響いてもいる。そのような演奏ぶりが、後期ロマン派的な肌合いをしてこの作品には、誠に似つかわしいと言えましょう。
更に言えば、歌心に満ち溢れていて、燦々たる陽光が差しているかのような音楽となっている。

聴いていて夢見心地に誘われるようで、しかも、清々しくもある演奏。見通しがクッキリとしていて、誠に聴きやすい。とても心地よくもある。
ツェムリンスキーの音楽に安心して身を委ねながら、その世界を堪能することのできる、素敵な素敵な演奏であります。