ブリュッヘン&18世紀管によるヴィヴァルディのフルート協奏曲集作品10を聴いて

ブリュッヘン&18世紀管によるヴィヴァルディのフルート協奏曲集作品10の全6曲(1979年録音)を聴いてみました。
≪海の嵐≫や≪ごしきひわ≫が含まれている協奏曲集。

ここでは、ブロックフレーテやフラウト・トラヴェルソを吹きながらの演奏が繰り広げられています。そのこともあって、木質感の高い、柔らかくて丸みを帯びた響きに包まれた音楽が鳴り響いている。まろやかで、暖かみが感じられもする。
そして、ブリュッヘンらしい、誠実味に溢れた演奏となっている。
そのうえで、溌溂としていて、活気に満ちた演奏が展開されています。とても鮮やかで、自在感に溢れているとも言えましょう。虚飾のない、率直な音楽づくりをベースとして、純真で素朴な演奏ぶりであるとともに、頗る華やかでもある。そう、ギャラントな雰囲気を湛えた演奏ぶりが示されている。ある種、ドラマティックでもある。しかも、伸びやかで、愉悦感に満ちている。
そのような演奏ぶりによって、ヴィヴァルディの作品に相応しい明朗さ備えた音楽が鳴り響いていると言いたい。なるほど、イタリア特有の真っ青な空が広がっている、といった風情とはちょっと異なっていて、ややくすんだ色調をしているのですが、無垢な明るさを湛えた音楽となっている。そのような方向性において、十分に晴れやかでもある。

懐の深さのようなものが感じられる演奏。
ブリュッヘンならではの魅力に包まれた、素敵なヴィヴァルディ演奏であります。