ルービンシュタイン＆ウォーレンシュタイン＆RCAビクター響によるグリーグのピアノ協奏曲を聴いて
ルービンシュタイン＆ウォーレンシュタイン＆RCAビクター響によるグリーグのピアノ協奏曲（1961年録音）を聴いてみました。
華麗であり、かつ、堅実で頑健な演奏となっています。
ルービンシュタインの演奏の特徴、それは、聴く者の心をスカッとさせる豪放さや華麗さにあるように思います。なるほど、ここでの演奏にも、そのような性格は備わっている。しかしながら、ただそれだけではない、堅固な音楽づくりが感じられる。
どっしりと構えた風格豊かな演奏ぶり、これもまたルービンシュタインの特徴の一つだと言えましょうが、この演奏では、そのような性格が殊のほか大きいように思うのであります。華美な音楽づくりばかりに傾かずに、じっくりと腰を据えながら堅牢な音楽を響かせてゆく、ここでの演奏。そのようなこともあって、とても雄大な音楽が奏で上げられている。
そのうえで、やはり、華のある演奏となっています。決して地味な響きや音楽づくりとなるようなことはなく、艶やかさが感じられる音楽が鳴り響いている。十分に情熱的でもある。そして、潤いが感じられもする。それゆえに、壮麗、流麗、美麗、といった言葉が私の頭の中に湧き上がってくる、そのような演奏となってもいる。しかも、息遣いが豊かで、情趣深くもある。
そのようなルービンシュタインに対して、ウォーレンシュタインがまた、手堅くて、かつ、宏壮な音楽世界が広がるような演奏ぶりで応えてくれている。必要十分に熱気が籠ってもいる。
ズシリとした手応えのある演奏。更には、奥行きの深さが感じられる演奏となっている。
外面と内面の充実が図れている、聴き応え十分な、素晴らしい演奏であります。