モーツァルトの誕生日に、スウィトナー&シュターツカペレ・ドレスデンによるモーツァルトの≪ジュピター≫を聴いて

今日はモーツァルトの誕生日。この日には、できるかぎり≪ジュピター≫を聴くようにしています。ということで、今年はスウィトナー&シュターツカペレ・ドレスデン(SKD)による演奏(1974年録音)で聴いてみました。

スウィトナー&SKDによるモーツァルトは、高校生の頃に繰り返し繰り返し聴いていました。ワルター&コロンビア響による演奏と共に、モーツァルトの交響曲に慣れ親しむことに、大いに貢献してくれた演奏たちでありました。

さて、ここでの≪ジュピター≫では、真摯で、折り目正しくて、清々しくて、優美な演奏が繰り広げられています。とても格調の高い音楽が鳴り響いている。それは、スウィトナーの音楽づくりの志向と、SKDの体質との相乗効果によるものだと言えましょう。
キビキビとしていて、しかも芳しく、雅な雰囲気に包まれています。決してケバケバしい音楽になっている訳ではないのですが、充分に華やか。頗る晴朗でもある。そして、音楽全体に生気が漲っていて、活力に富んでいて、颯爽としている。モーツァルトらしい愉悦感に溢れてもいる。
と言いましても、むやみやたらとはしゃぎたてている訳ではありません。むしろ、整然としている言った方が良いくらい。誠実を尽くしている演奏ぶりだと言っても良いでしょう。しかしながらも、この作品に相応しく、音楽が躍動していて、運動性がハッキリと感じられる。しかも、第2楽章での翳を帯びた演奏ぶりも、ジッと胸に沁み渡ってくる。最終楽章では、音楽が織り成す綾が、クッキリと見えてくる演奏が展開されてもいる。
誇張の一切ない音楽づくりの中から、作品の実像が浮かび上がってくる演奏。しかも、この上なく美しい姿をしながら。それは、凛とした美しさだとも言いたい。このような形の演奏は、私にとっては理想的であります。
そのうえで、清潔感漂うSKDの美音がまた、実に魅力的なのであります。

モーツァルトを聴く歓びを心行くまで味わうことのできる、素敵な素敵な演奏であります。

【補足】
添付写真のジャケットに手書きされているのは、スウィトナーによる直筆サイン。
私が大学生の時、所属していた大学オケが行きつけにしていた居酒屋にスウィトナーが訪れ(国立音大のオケを指揮するために来日していた折だったと記憶しています)、そのお店にアルバイトで入っていた同級生から「今、スウィトナーが来店しているよ!!」と電話が架かってきたので、この音盤を抱えて居酒屋に直行し、サインを頂いたのでした。
(その居酒屋の「煮込み」をスウィトナーが絶賛していたと、我がオケ内ではまことしやかに語られていたものでした。)
そのような思い出も相まって、私にとっては大切な音盤となっています。