グリモー&サロネン&シュターツカペレ・ドレスデンによるシューマンのピアノ協奏曲を聴いて

グリモー&サロネン&シュターツカペレ・ドレスデン(SKD)によるシューマンのピアノ協奏曲(2005年録音)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音盤での鑑賞になります。

繊細で、抒情性の豊かな演奏であります。
それでいて、力強さや雄弁さにも不足はない。そして、まろやかで膨らみがあって、暖かみのある演奏が繰り広げられている。そのうえで、冴え冴えとした「感性の煌めき」のようなものも、随所で感じられます。
そのような特徴は、グリモーの感受性の豊かさ故のことだと言えましょう。しかも、丹念な音楽づくりでありつつも、力強さや逞しさもシッカリと表されているところが、実に好ましい。シューマン特有の「狂気」を強烈に感じさせてくれる、とまでは行かないにしましても、充分にホットでスリリングであり、そこここで音楽がうねっています。
全体的に、大上段に構えるようなことはなく、ケレン味のない演奏ぶりが示されていて、かつ、自然体で、伸びやかな演奏が展開されています。そのうえで、必要十分なスケールの大きさや、躍動感やが感じられる。
そのようなグリモーをサポートしているサロネンの指揮もまた、丹念にして、息遣いが豊かで、雄渾な音楽を築き上げてくれている。そして、SKDの響きは、ここでも清潔感を伴った美しさに満ちていて、輝かしさや艶やかさを持ったものとなってもいる。

グリモーの魅力を、そして、指揮者とオケの魅力をタップリと味わいながら、この作品の音楽世界に安心して身を浸すことのできる演奏。
なんとも素敵なシューマン演奏であります。