バーンスタイン&ウィーン・フィルによるハイドンの≪オックスフォード≫と≪V字≫を聴いて
バーンスタイン&ウィーン・フィルによるハイドンの≪オックスフォード≫と≪V字≫(1983,84年録音)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音盤での鑑賞になります。
実に流麗な演奏となっています。そして、キビキビとしていて、身のこなしがしなやかでもある。
この辺りの性格は、ウィーン・フィルの体質に依るところが大きいのではないでしょうか。なるほど、バーンスタインならではの強靭な音楽づくりが為されています。そして、剛毅で情熱的で躍動感に満ちている。そのような音楽づくりの中に、優美でふくよかな味わいも備わっている演奏となっている。更に言えば、頗る艶やかで、美しい。
と同時に、両曲ともに緩徐楽章では、歌心に満ち、抒情性に溢れた、滋味深い音楽が奏で上げられている。
そんなこんなのうえで、全編を通して、音楽する喜びが滲み出ています。それが、聴く者に音楽を聴く喜びを与えてくれることにも直結していると言えそう。
そのような演奏を通して、ハイドンの音楽が、殊のほかチャーミングに響き渡っています。
ハイドンならではの「素朴さ」は、薄いかもしれません。ある種、ゴージャスな演奏となっている。頗る輝かしくもある。その一方で、愉悦感を湛え、躍動感に満ち、音楽が本来的に持っている「愉しさ」をストレートに伝えてくれる世界が広がっているところは、まさにハイドンの音楽そのものであると言いたくなります。
更に言えば、人懐っこさのようなものや、暖かみが強調されているのは(特に≪オックスフォード≫の最終楽章において)、いかにもハイドンらしくて、誠に好ましい。
いやはや、なんとも素敵な演奏であります。
※添付のジャケット写真は、NMLに掲示されているものとは別物です。
「この音盤のジャケットと言えば、これ」というものを添えたい、という思いに駆られ、ネットで見つけた写真を拝借いたしました。