セル&クリーヴランド管のブラームスの交響曲第2番を聴いて

セル&クリーヴランド管のブラームスの交響曲第2番(1967年録音)を聴いてみました。

凛とした演奏となっています。
重厚なブラームス演奏とは、或いは、豊麗なブラームス演奏とは、対極にある演奏だと言えましょう。音楽全体がキリッと引き締まっている。高潔でもある。そのうえで、粒立ちが鮮やかで、ピュアな美しさに包まれている。そんなこんなが、いかにもセルらしい。
それでいて、決して痩せぎすな演奏にはなっていません。ギュッと凝縮されていながらも、宏壮で、充実感いっぱいな音楽が鳴り響き渡っている。
余分なものは全て削ぎ落した、筋肉質なブラームス演奏。やるべきことを全てやり尽くして、作品のエッセンスを明確に提示したらこのような演奏になった、と表現したくなります。
しかも、決して堅苦しい演奏にはなっていません。過度にストイックなものになっている訳でもない。「健全なるロマンティシズム」といったようなものが薫ってくるかのよう。
更に言えば、「緻密にして頑健なる明朗さ」と呼びたくなるようなものが感じられもします。力感や躍動感に不足がなく、実に生き生きとしてもいる。堅固な演奏が展開されつつも、しなやかで伸びやかもある。そのような演奏ぶりが、ブラームスの交響曲の中でも最も晴れやかで快活な性格を持っている第2番には、実に似つかわしい。

セルの美質と作品の魅力とが融合された、なんとも見事な、素敵な素敵な演奏であります。