レヴァイン&ベルリン・フィルによるサン=サーンスの≪オルガン付き≫を聴いて

レヴァイン&ベルリン・フィルによるサン=サーンスの≪オルガン付き≫(1987年録音)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音盤での鑑賞になります。

いかにもレヴァインらしい、オケを気持ちよく鳴らしながらの演奏。豪快で、頑健で、気風の良い演奏となっています。
雄大で、しかも、よく歌っている。鮮烈にして、生きが良くて、溌剌としてもいる。そのようなこともあって、エネルギッシュでダイナミック、かつ、逞しい生命力の漲っている演奏が展開されています。推進力に満ちている。そして、実に輝かしい。ゴージャスで、カラフルでもある。
そのような様が、実に屈託がない。頗る率直であり、円満であり、健康的で明朗な演奏だとも言えましょう。
しかも、4楽章形式と見なした際の第2楽章に当たる箇所では、誠に抒情的な音楽が鳴り響いている。そのような点も含めて、劇的描写の明瞭な演奏だとも言いたい。
そこに、ベルリン・フィルの分厚い響きが加わることによって、音圧が強くて、芯のシッカリとした音楽となっている。しかも、頗る巧緻でもある。

スペクタクルな性格を持っていると言えそうな、この作品の音楽世界に、どこにも引っかかることなくス~っと入り込むことのできる、なんとも見事な演奏。更に言えば、聴いていて痛快な思いに浸ることのできる演奏でもある。
しかも、そのような一面だけを追求しているのではなく、しなやかさや、自然な息吹を感じることのできる演奏となっている。
レヴァイン&ベルリン・フィルというコンビならではの快演だと言えましょう。