カラヤン&ベルリン・フィルによる≪ツァラトゥストラかく語りき≫を聴いて

カラヤン&ベルリン・フィルによるR・シュトラウスの≪ツァラトゥストラかく語りき≫(1983年録音)を聴いてみました。

カラヤン(1908-1989)は、同曲をウィーン・フィルと1回、ベルリン・フィルと2回セッション録音していますが、これはその最後のものとなります。
ヴァイオリン独奏は、ブランディスが務めています。

さて、ここでの演奏はと言いますと、カラヤンらしい豊麗なR・シュトラウス演奏となっています。そして、極めてゴージャス。なんとも艶美で、ある種の妖艶さのようなものすら感じられます。
誠に滑らかで艶やかで、そして適度な重厚感もある。デコボコのないスマートな演奏ぶりでありつつも、地響きを立てながら驀進してゆくような威力の備わっている演奏となっている。そう、力感に溢れているのであります。うねりも充分。色彩の鮮やかさも際立っている。
全編が絢爛たる輝きに満ち溢れています。なにもかもが円滑に進んでいき、しかも、ドラマティック。それはもう、唖然とするほどに巧緻な演奏となっている。

聴いていて、晴れやかで華やいだ気分にさせてくれる、痛快な演奏。
オーケストラ作品に接する歓びを大いに味わうことのできる、素晴らしい演奏であります。