アンスネス&マリス・ヤンソンス&ベルリン・フィルによるグリーグのピアノ協奏曲を聴いて
アンスネス&マリス・ヤンソンス&ベルリン・フィルによるグリーグのピアノ協奏曲(2002年録音)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音盤での鑑賞になります。
1970年にノルウェーで生まれたアンスネスにとって、自国の作曲家でありますグリーグが生み出したこの協奏曲は、とても大事な作品のようです。当盤はアンスネスが32歳の年に録音されたものですが、これより12年前にはキタエンコ&ベルゲン・フィルとも同曲を録音していました。
さて、ここでのアンスネスによるピアノはと言いますと、清冽で繊細であって、それでいて豪放なもの。
透明感があり、抒情性に溢れていて、かつ、情熱的であります。感受性豊かな音楽が紡ぎ出されている。詩情性がとても豊か。そして、響きはとても美しい。
それはもう、冴え冴えとしたピアノとなっています。生彩感に溢れてもいる。この作品が持っているロマンティシズムも余すところなく開示してくれていると言えましょう。しかも、力強さにも不足はない。決して派手ではないものの、安定したテクニックを土台としながら、しっかりとしたピアニズムが披露されている。
そのようなアンスネスを、ヤンソンス&ベルリン・フィルの充実した音楽づくりで、がっちりとバックアップしてくれています。適度に雄渾でもある。
聴き応え十分で、そして、美しい佇まいが示されている、素敵な演奏であります。