ムーティ&フィラデルフィア管によるレスピーギの『ローマ三部作』を聴いて
ムーティ&フィラデルフィア管によるレスピーギの『ローマ三部作』(1984年録音)を聴いてみました。
華麗でゴージャスな演奏であります。そして、絢爛豪華な音楽世界が広がっている。それは、ムーティの音楽性と、フィラデルフィア管の体質とが融合された結果だと言えましょう。
基本的には、ムーティならではの豊満な音楽づくりを基調としながらの演奏となっています。そのために、外に向かって放射されているエネルギーが頗る大きい。そして、実に生き生きとしていて、音楽が弾け飛んでいる。
更に言えば、壮麗な音楽となっている。堂々としていて、かつ、華やいだ雰囲気に満ちていている。音楽がキラキラと輝いてもいる。それは≪松≫や、とりわけ≪祭り≫において顕著。眩いばかりの色彩感に溢れています。
(最後に収められている≪ローマの祭り≫は、三部作の中でも、このコンビの美質が最大限に発揮されている演奏だと言えそう。鮮烈にして、煽情的な演奏が繰り広げられています。)
その一方で、≪噴水≫での抒情性の豊かさもまた、見事に描き出されています。実に精妙な音楽が鳴り響いている。そして、夢想的な美しさを湛えてもいる。
全3作を通じて、フィラデルフィア管の煌びやかでいてマイルドな響きも、なんとも魅力的であります。
この三部作の魅力をとことん味わうことができ、かつ、オーケストラを聴く快感に酔いしれることのできる、素晴らしい演奏であります。