ハイフェッツ&トスカニーニ&NBC響によるベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲を聴いて
ハイフェッツ&トスカニーニ&NBC響によるベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲(1940年録音)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音源での鑑賞になります。
剛毅にして、ダンディズムのようなものが漂う演奏となっています。
基本的には直線的な演奏が繰り広げられている。それでいて、硬直した音楽にはなっておらずに、しなやかであり、艶美でもあります。洗練味を帯びていて、粋な音楽が鳴り響いています。凛としていて、気高くもある。
全体的に、目鼻立ちがクッキリとしていて、キリっとした表情をしており、端麗な演奏が展開されています。そのうえで、誠に豊麗。そして、輝かしい。光彩陸離たる音楽だとも言いたい。爛漫たる音楽が鳴り響いている。
しかも、歌心に満ちている。この「歌心」という点については、トスカニーニの多くの演奏から窺えるのですが、この演奏ではハイフェッツもまた、丹精に、そして甘く、歌い込んでいる。このことが、演奏の豊麗さに繋がっていると言えましょう。
実に立派な演奏であり、かつ、聴いていて陶然としてくる演奏となっている。
ハイフェッツとトスカニーニによる共演は、少なくともセッション録音としては、これが唯一のものとなるのではないでしょうか(ライヴ音源も含めて、他に音盤化されたものはないように思えます)。
この両巨匠による録音が遺っていることに、ただただ感謝するのみであります。