ブロムシュテット&サンフランシスコ響によるバルトークの≪管弦楽のための協奏曲≫を聴いて

ブロムシュテット&サンフランシスコ響によるバルトークの≪管弦楽のための協奏曲≫(1993年録音)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音源での鑑賞になります。

整然とした演奏が展開されています。そのために、バルトークの音楽に特徴的とも言えそうな、血沸き肉躍る熱狂や、野趣のようなものの薄い演奏となっているように思える。或いは、峻厳な音楽世界や、葛藤が垣間見えながらニヒリズムのようなものを感じさせてくれる音楽とも、異なる趣きを見せてくれている。
それに代わってここにあるもの、それは、とても調和の取れている音楽世界。ある種、平和に満ち溢れすぎているとも言えそうですが、凛とした、端麗な音楽が鳴り響いていて、そこに独特の魅力が感じられます。ここでの演奏は、「ピュアな美しさ」を湛えているバルトークだとも言えそう。
そのうえで、とても誠実な演奏ぶりであり、作品を克明に描き上げてくれている。しかも、力感や推進力にも不足はなく、音楽は端正に躍動している。目鼻立ちがクッキリとしてもいる。

そんなこんなが、いかにもブロムシュテットらしい。
ブロムシュテットならではのユニークな魅力が放たれている、素敵な素敵なオケコンであります。