ラン・ラン&メータ&ウィーン・フィルによるショパンのピアノ協奏曲第1番を聴いて

ラン・ラン&メータ&ウィーン・フィルによるショパンのピアノ協奏曲第1番(2008年録音)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音源での鑑賞になります。

なんとも豪華な組合せであります。しかも、ウィーン・フィルによるショパンの正規録音というのは、これが初めてだったのではないでしょうか。そして、2008年に録音された当盤以降も、録音はなされていない。

そのような当盤でありますが、実にゴージャスな演奏となっています。晴れ晴れしくて、煌びやかでもある。
ラン・ランによるピアノ演奏は、ここでも、類まれなテクニシャンぶりが存分に発揮されたものとなっています。誠に力強くもある。グイグイと音楽を押し進めている、といった感が強い。
それでいて、弾き飛ばすようなことはありません。なるほど、繊細な演奏になっているという訳ではないのですが、詩情性の豊かさが備わっている。ノスタルジックな雰囲気にも不足はない。そして、力強くありつつも、そっと声を潜めながら、ニュアンスの豊かな音楽を奏で上げてくれている。
そういった演奏ぶりによって、華やかであり、かつ、感興の豊かなショパンの音楽世界がクッキリと描かれてゆく。
そのようなラン・ランに対して、メータはシンフォニックな演奏ぶりで応えてくれています。とても恰幅の良い演奏となっている。音楽づくりが雄大でもある。
そこに、ウィーン・フィルのまろやかな響きが加わることによって、音楽に奥行きが与えられている。

聴き応え十分な、素敵なショパン演奏であると思います。