レナード・スラトキン&セントルイス響によるバレエ音楽≪ロデオ≫全曲を聴いて

レナード・スラトキン&セントルイス響によるバレエ音楽≪ロデオ≫全曲(1985年録音)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音源での鑑賞になります。
全曲版に依っており、ホンキー・トンク・ピアノによる「ランチ・パーティ」も含まれております。

さて、ここでの演奏はと言いますと、キリっと引き締まったものになっています。こけおどしな表現の全くない演奏が繰り広げられている。
この曲の場合は、いくらでもアクロバティックに、スリリングに、そして、騒ぎ立てんばかりに賑々しく演奏することが可能なのではないでしょうか。しかしながら、ここでのL・スラトキンは、そのようなアプローチを採っていない。整然と、かつ端正に、音楽を進めています。そして、音楽をじっくりと磨き上げている。
それでいて、必要十分にリズミカルで、躍動感に溢れています。お祭り騒ぎになったり、下品になったり、といったことのない範囲で、エネルギッシュでダイナミックでもある。そのために、音楽の表情は、実に生き生きとしている。第1曲目の最後のほうなどは、音楽を存分に煽りながら、大きな昂揚感を築いてもいる。
しかも、第2,3曲目などでは、抒情性を前面に押し出して、哀愁を漂わせながら、ニュアンス豊かに奏で上げている。そう、明るくて覇気がある一辺倒ではなく、しっとりとした感触を備えてもいるのです。

格調高くて、かつ、溌溂としていて明朗なコープランド演奏。ユニークでありつつも、とても魅力的な演奏であります。