マリナー&アカデミー室内管によるレスピーギの≪鳥≫と≪ボッティチェルリの三枚の絵≫を聴いて

マリナー&アカデミー室内管によるレスピーギの≪鳥≫と≪ボッティチェルリの三枚の絵≫(1976年録音)を聴いてみました。

ここに並んでいる作品は、ローマ三部作で聴けるような、大音響が轟く音楽ではありません。いわゆる擬古典主義による、懐古的な雰囲気を湛えている作品。
そのうちの≪鳥≫は、ラモーらのバロック期の作品を素材にして編まれた、5曲から成る組曲。優美で、雅趣に富んでいる、チャーミングな作品であります。
≪ボッティチェルリ≫のほうは、自作の旋律による、色彩鮮やかで、かつ、詩情性の豊かな音楽となっています。尚、三枚の絵とは、「春」と「東方の三博士の礼拝」と「ヴィーナスの誕生」。
さて、ここでのマリナーによる演奏でありますが、なんとも爽やかなものとなっています。涼やかで、清新な音楽世界が広がっている。スマートで流麗で端正でもある。そして、とてもオシャレで、エレガント。
更に言えば、楷書風な演奏ぶりが貫かれていて、格調高い。それでいて、親しげでもある。スッキリしていて清涼感に溢れていながらも、冷ややかではなく、暖かみがある。
そのような演奏ぶりがこれらの作品に相応しく、聴いていて誠に心地が良い。

実に素敵な作品であり、素敵な演奏であると思います。