バーンスタイン&イスラエル・フィルによるメンデルスゾーンの≪スコットランド≫を聴いて

バーンスタイン&イスラエル・フィルによるメンデルスゾーン集から、≪スコットランド≫(1979年録音)を聴いてみました。

最晩年にしばしば見せた、超スローなテンポを貫き通しながら、情念の塊のような演奏を繰り広げてゆくレニーの姿は、まだここでは見ることができません。むしろ、覇気に溢れていて、颯爽とした音楽を聞かせてくれている。
しかしながら、情緒纏綿とした音楽が、その端々から聞こえてくるのも確か。しかも、足腰のシッカリとした音楽づくりが為されている。その辺りに、最晩年のレニーが見せた色合いがほのかに感じられるのが、なんとも興味深いところであります。後のレニーの演奏ぶりを知っているが故に、このような聴きかたになってしまうのかもしれませんが。
ただ、そのようなことを度外視しても、知情のバランスの良く取れているメンデルスゾーン演奏になっていると言えましょう。すなわち、メンデルスゾーンの瀟洒なロマンティシズムと、ほとばしる情熱とが程よくミックスされている。どっしりと構えていながら、音楽が生き生きと疾駆している。メンデルスゾーンによって生み出された交響曲の中で最も規模の大きなこの作品が備えている気宇の大きさも、シッカリと描き出されている。

立派であるとともに、なんとも魅力的なメンデルスゾーン演奏であります。

なお、中学・高校・大学と、吹奏楽とオーケストラでクラリネットを吹いていた私。イスラエル・フィルのクラリネットは、とても巧くて、音もふくよかでまろやかで、大好きなのです。
第2楽章はクラリネットによって旋律が提示されるのですが、この演奏を聴くたび、その見事さと美しさに惚れ惚れしてしまいます。