クーベリック＆バイエルン放送響によるシューマンの≪ライン≫を聴いてみました
クーベリック＆バイエルン放送響によるシューマンの交響曲全集から≪ライン≫（1979年録音）を聴いてみました。
キメが細かくて、キリリと引き締まった演奏が展開されています。とても純度が高くて、凛としていて、音楽が底光りをしているかのよう。
総じて、誠実味に溢れていて、堅牢な音楽となっています。その一方で、力感も充分。キビキビとしていて、生気に富んだ演奏が繰り広げられている。冷静沈着とした演奏ぶりでありつつも、必要十分な熱気を孕んでいる。
クーベリックは、知情のバランスに優れた指揮者であると思っているのですが、この演奏などは、その真骨頂が現れていると言えましょう。知的でありつつも、情熱にも不足のない。ただ、どちらかと言えば、知性のほうが僅かに優っていると言えそう。
（これがライヴになると、情熱のほうが優ることが多い。）
音楽が、しかるべき姿でキッチリと鳴り響いている。そのことによって、作品が、ありのままの姿で描き出されてゆく。そんなふうにも言える演奏であります。
このようなバランス感覚に優れた演奏、私は大好きなのであります。
作品の魅力と、クーベリックの魅力の双方を存分に楽しむことのできる、素晴らしい演奏であります。