コンドラシン&コンセルトヘボウ管によるシベリウスの交響曲第5番を聴いて

コンドラシン&コンセルトヘボウ管によるシベリウスの交響曲第5番(1976年ライヴ)を聴いてみました。

コンドラシンならではの、骨太で、かつ、逞しい演奏となっています。そして、この作品に相応しい、拡がり感の大きな、壮大な音楽が鳴り響いています。ドッシリと構えた演奏ぶりでありつつも、覇気の漲っていて、熱気に包まれた演奏が展開されている。更に言えば、ライヴならではの、感興の豊かさが感じられもする。
冒頭から、広々とした音楽世界が描き出されています。冴え冴えとしていながらも、寒々としておらずに、燃え立つような激しい感情を内に秘めた演奏となってもいる。第1楽章の後半に向けての昂揚感や、音楽の畳み掛けも見事。
第2楽章では、速めのテンポで軽妙かつ可憐な演奏が展開されて、この演奏にチャーミングな花を添えてくれている。
第3楽章もまた、速めのテンポでグイグイと押してゆく。推進力に満ちていて、逞しさを備えている演奏が繰り広げられています。とは言いながらも、浮ついた演奏にはなっていません。大地にしっかと根を張っている演奏ぶりとなっている。力感に溢れてもいる。そして、壮麗なクライマックスを築きながら、輝かしく曲は閉じられる。
そこへ持ってきて、全編を通じて、コンセルトヘボウ管の豊潤で、芳しくて、ふくよかで厚みのある充実感タップリな音が、この演奏に大きな魅力を添えてくれている。

この作品の魅力を、そして、この指揮者とこのオケの魅力をタップリと味わうことのできる、見事な、そして、素敵な演奏であります。