ごあいさつ
今日から、ブログを始めました。
クラシック音楽の音盤を聴いたり、演奏会に接したりしての印象についてレビューしていきたいと考えています。音楽愛好家の方々に、共感して頂けるようなブログになるよう努めていきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
※添付の写真は、2017年5月2日にミラノ・スカラ座を訪れた際に客席から撮影したものと、演目のポスター。演目は、ロッシーニの≪どろぼうかささぎ≫でありました。
鑑賞しての感想を、フェイスブックに投稿しておりますので、その文章を掲載させて頂きます。
<フェイスブックへの投稿の掲載>
ミラノ・スカラ座でロッシーニの≪どろぼうかささぎ≫を観てきました。指揮はリッカルド・シャイー。
この作品が初演されたのは、1817/5/31、ミラノ・スカラ座にて。ということで、今回のスカラ座での公演は、初演200年を記念してのもののようです。
昨夜の≪つばめ≫(注)に続いて、なかなか実演に接する機会のないオペラの鑑賞。しかも、ミラノ・スカラ座での鑑賞。期待に胸を膨らませながら劇場に向かったものであります。
さて、そんな本日の演奏の印象なのですが、キビキビと生き生きとしていて、音楽が弾けている。ロッシーニの音楽を演奏することに関して言えば、スカラ座のメンバーたちを置いて他にいない。彼らは、まさにそのような存在であると言えようかと思うのですが、今晩はロッシーニの音楽を熟知している演奏者たちによる純正のロッシーニを聴いた。そんな思いを強く抱いております。
歌手陣では、まずはヒロインであるニネッタを歌ったフェオラが素晴らしかった。
声質は生粋のリリコ・レジェーロ。声が澄んでいて、しかもよく通る。伸びやかな歌い口で、清潔感があって、情感も豊か。≪愛の妙薬≫のアディーナ辺りも似合いそうな歌いぶりでありました。
代官を歌ったペルトゥージは、現代最高のバッソ・プロフォンド(威厳のあるバス)であろうかと思います。
本日の歌でも、朗々とした声と歌いぶりの中にも、ドン・ジョヴァンニを思わせる「色気」のようなものがあって、実に立派でありました。しかしながら、好色この上なく、かなりコミカルな役である代官には、あまりに生真面目過ぎたように思えます。スカラ座の舞台には常連の偉大なるバス歌手なのですが、本日のスカラ座の聴衆の反応も、ペルトゥージには少々冷ややかであった。
オペラって、難しいですね。
代官とともにバスに与えられている重要な役柄、フェルナンド(ニネッタのお父さん)を歌ったエスポジトは、威勢のいい歌いぶりでフェルナンドを好演。スカラ座の聴衆も、ペルトゥージとは打って変わって、エスポジトを大いに称賛しておりました。
役柄の性格からすると、ペルトゥージとエスポジトを入れ替えていても良かったのでは、とも思った次第であります。
テノールに与えられた役、ジャンネット(ニネッタの恋人)を歌ったロカは、可もなく不可もなく、といったところでしょうか。これだけの環境の中での「可もなく不可もなく」であれば、大健闘と言えるのかもしれませんが……
この辺りで、話しをオケと合唱に移しましょう。これはもう、無条件に素晴らしかった。
オケは、一つ一つの音が実に生き生きとしていて、粒が立っていて(特に木管群が)、しなやかで。
合唱に関しては、この作品はロッシーニの中でも合唱がかなり活躍するオペラに属するのではないかと思うのですが、厚みと深みのある合唱が、存在感抜群でありました。
そして、これはオケと合唱の両者に当てはまるのですが、実に輝かしい。イタリアオペラは、やっぱりこうでなくてはなりません。
最後に演出について、ちょっとだけ。
観る前に気になっていましたのは、かささぎの悪戯をどのように演出するのかだったのですが、舞台にロープを垂らし、曲芸師よろしくロープを使って舞台を上に下に横にと動き回る、というものでありました。← と言いましても、常に舞台を動き回っているのではなく、要所要所で出てきて動く、といった趣向。「ピッポ」とか「ニネッタ」と呟くセリフも、この曲芸師が発していた、といった按配なのでありました。
それにしましても、スカラ座で観るイタリアオペラは、やっぱり格別ですねぇ〜🎶🎶
今日も、あらすじを付けますので、よろしければ参考にして頂ければと思います。
第一幕
とあるいなか村。かささぎが飛んで鳴いている。今日は地主ファブリツィオの家で息子ジャネットの兵役から帰還の祝宴の準備で母ルチアは大忙し。食器がちょこちょこなくなるのを気にしている。ニネッタは、父フェルナンドは兵役、母は死に、ファブリツィオの家で働いている。ニネッタとジャネットは愛し合っているのだ(アリア「心はよろこびにときめく」) 。ジャネットが帰還する。村人たちに祝福され、抱き合う二人(アリア「この腕の中に」) 。
そこへフェルナンドが現れる。上官と争いになり脱走してきたのだ。不運を嘆く二人ところへニネッタに横恋慕する代官(アリア「準備は万端」) がやって来る。代官に警察から緊急のしらせ。眼鏡がないので読んでくれという代官。フェルナンドの手配書だがニネッタは中身を偽って読む。また代官の求愛をこっぴどくはずかしめる。
ニネッタは父の逃走用の金を得るために、祝宴用のスプーンを一つ行商人に売る。ばれてどろぼうさわぎとなり、ほかの紛失の罪もかぶせられ逮捕される。
第二幕
牢に捕らわれているニネッタのところへジャネット。運命をなげく。代官がやってきて、彼の思いを受け入れたら許すというが(アリア「そう、あなたの目は」) 、ニネッタは拒否し、彼は毒づいて去る(アリア「有罪になって慈悲を乞うだろう」)。ルチアのところへフェルナンドがあらわれ、事情を知る(アリア「永遠の神よ! 」) 。ルチアは神に祈る(アリア「ニネッタが戻ったら」) 。
裁判所でニネッタは死刑を宣告される。フェルナンドが現れるが彼も捕らえられ、ニネッタは執行に引き立てられる(アリア「神の憐れみを」) 。そのとき、若者ピッポはかささぎが金をくわえて行くのを見つけ、巣に食器もあるのを発見し、ニネッタは許される。でも父を気づかう彼女のところへフェルナンドがあらわれる。友人の尽力で国王の許しを得たのだ。めでたし、めでたし。
(注)この日の前日、5月1日には、ベルリン・ドイツ・オーパーでプッチーニの≪つばめ≫を観劇しておりました。