コチシュ&イヴァン・フィッシャー&ブダペスト祝祭管によるバルトークのピアノ協奏曲全3曲を聴いて

コチシュ&イヴァン・フィッシャー&ブダペスト祝祭管によるバルトークのピアノ協奏曲全3曲(1985,87,84年録音)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音盤での鑑賞になります。

バーバリズムや土俗性が薄くて、洗練味を帯びている演奏だと言えましょう。客観性が高くて、端正でもある。しかも、生命力や推進力に溢れている。
コチシュによるピアノは、打鍵は力強く、逞しい。苛烈でもある。第2番に象徴されるように、随所で用いられている打楽器的な用法も、充分に効果的なものとなっている。とは言うものの、荒々しくなるようなことはなく、キリっとしていて、品格のある音楽が奏でられてゆくのであります。音の粒立ちは鮮やか。響きはクールなようでいて、暖かみを帯びている。そのような音を駆使しながら、立体的に、かつ活力の漲っている演奏を繰り広げてくれている。そして、精妙でもある。
更には、テクニックが冴え渡っていることが、ここでのピアノ演奏の魅力を引き立たせてくれています。しかも、テクニックの切れをこれ見よがしに見せつけるような素振りが感じられず、冷酷な雰囲気が全く漂ってこないところが、なんとも好ましい。
そのようなコチシュに対して、I・フィッシャーによる指揮もまた、似たようなことが言えましょう。切れ味鋭く、克明で、立体的な演奏ぶりが示されている。鮮烈で生々しい演奏となってもいる。躍動感も充分。それでいて、単に力で押すだけではなく、均整が取れていて、しなやかでスマート。そんなこんなのうえで、緻密で克明な演奏を繰り広げてくれている。

エネルギッシュで、ダイナミズムにも不足がないものの、スタイリッシュでもある演奏。野性味と洗練が同居しているような演奏だとも言えましょう。アグレッシブな演奏ぶりであり、バルトークに特有の「血湧き肉躍る」要素にも不足は無い。それでいて、必要以上に攻撃的になっていない。
そんなこんなによって、純音楽的な美しさを湛えたバルトーク演奏になっているとも言えそう。
率直でありつつも奥深さの感じられる、なんとも見事な、そして、素敵な演奏であります。