ヨッフム&バンベルク交響楽団によるモーツァルトの≪リンツ≫と交響曲第33番を聴いて

ヨッフム&バンベルク交響楽団によるモーツァルトの≪リンツ≫と交響曲第33番(1985年録音)を聴いてみました。

充実感たっぷりの、素晴らしい演奏が繰り広げられています。
老練とも言えそうな落ち着いた音楽づくりが施されていながら、若々しいまでの覇気がある。滋味溢れていて、それでいて、華やかさを湛えている。風格豊かでドッシリと構えた音楽づくりでありつつ、愉悦感や躍動感に溢れている。頑健でありつつ、親しみやすさや暖かさに満ちてもいる。
そう、安定感抜群な音楽づくりでありながらも、地味な演奏などにはなっておらず、生気に溢れていて、華やかな雰囲気にも不足のない演奏が展開されているのであります。それは、決してケバケバしいようなものではなく、凛とした美しさを湛えた華やかさ。そこからは、瀟洒な雰囲気が滲み出てもいる。そんなこんなによって広がっている音楽世界は、まさにモーツァルトの作品にピッタリだと言えましょう。
キッチリと音楽を奏で上げさえすれば、あとは作品自らが魅力を語り尽くしてくれる。そのような考え方に基づいた演奏だとも言えそう。実際のところ、質実剛健でありつつも、頗るチャーミングな音楽が鳴り響いているのであります。
そのようなヨッフムの演奏ぶりに添えられているバンベルク響の雅趣溢れる響きがまた、実に魅力的でもある。なるほど、くすんだ響きだとも言えそうですが、雑味のない清澄さを湛えていて、かつ、暖かみのある音が鳴り響いています。そのことが、この演奏に備わっている瀟洒な味わいを増してくれているとも思われる。

ケレン味のない演奏。それでいて、充実を極めていて、頗る味わい深い演奏。
作品が持つ魅力を心ゆくまで堪能できる、なんとも見事な、そして、素敵な演奏であります。