ワルター&コロンビア響によるハイドンの≪V字≫と≪軍隊≫を聴いて

ワルター&コロンビア響によるハイドンの≪V字≫と≪軍隊≫(1961年録音)を聴いてみました。
ワルターらしい、温もりのある、滋味に溢れた素敵なハイドンであります。慈しみに溢れてもいる。そのようなこともあって、聴いていて幸せな気分が満ちてくる。
しかも、決して大言壮語をしている訳ではないのですが、必要十分な壮大さを併せ持っている。
その一方で、音楽の作りは極めて堅固。リズムに対する感覚も研ぎ澄まされています。
その顕著な例は、≪軍隊≫の第1楽章序奏部での付点音符の処理。付点の音価が目にハッキリと見えるほどに、精妙にリズムが刻まれてゆく。そこから生まれる、凛とした音楽の佇まいの美しさたるや、惚れ惚れするほどであります。
また、今述べたこととも関連するのですが、とても厳格な音楽が鳴り響くこととなってもいる。この点については、≪軍隊≫の第1楽章の主部において、特に顕著であります。
これらのことは、ここでのハイドンに限らずワルターの演奏にはよく見受けられる事柄なのですが、ただ単に感情に流されずに厳格に音楽を創ってゆこうとするワルターの、指揮者としての責任感や自負心の高さ、更には見識の高さの現れであるのだな、と思っております。
そのうえで、ハイドンならではのウィットに不足はない。とても洒落ていて、親しみに溢れている。更には、澄ましたような態度は微塵も感じられないながら、頗る凛々しくもある。
ハイドンのチャーミングな魅力が、端々から滲み出てくる演奏。しかも、とても格調高く。
これはもう、ワルターという、あまりにも偉大な指揮者の神髄を感じ取ることができ、かつ、暖かい人間性を痛感することのできる、素晴らしいハイドンであると言えましょう。





