ヴェンゲーロフ&ロストロポーヴィチ&ロンドン響によるプロコフィエフのヴァイオリン協奏曲第1,2番を聴いて

ヴェンゲーロフ&ロストロポーヴィチ&ロンドン響によるプロコフィエフのヴァイオリン協奏曲第1,2番(1994,96年録音)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音盤での鑑賞になります。
ヴェンゲーロフのヴァイオリンの特徴、それは、卓越した技巧と、艶やかな美音にあるように思われます。すなわち、均整の取れているヴァイオリニストであると。
それらのことは、ここでのプロコフィエフの演奏においても当てはまりましょう。そのうえで、あまり情念的にならずに、スッキリと、そして、美麗に纏め上げられた演奏となっている。過度にミステリアスになったり、或いは、瞑想的になったり、といったようなことはなく、明晰な音楽が鳴り響いているとも言えそう。
しかも、取り澄ました表情をした音楽になるようなことはない。線の細い音楽になるようなこともない。むしろ、必要に応じては、煽情的であり、エネルギッシュでもある音楽を聞かせてくれている。それでいて、音楽が過剰に沸騰したり、フォルムを崩してしまったり、といったことが微塵も感じられないのが、ヴェンゲーロフらしいところであります。
また、第2番の第2楽章において顕著なのですが、夢想的な表情にも不足はない。この楽章では、殊更に、ヴェンゲーロフの艶やかな美音が魅惑的なものとなってもいる。
更には、第1番の第2楽章に代表されるように、疾駆感の強い箇所では、安定したテクニックを土台にしながら、機敏にして切れ味の鋭い演奏を展開してくれています。それも、無為に弾き飛ばす、といったところの全くない形で。
そんなこんなも含めて、爽快感をもたらしてくれるプロコフィエフ演奏だと言えるのではないでしょうか。ピュアな美しさを湛えたものとなってもいる。
そのようなヴェンゲーロフに対して、ロストロポーヴィチによる指揮もまた、恣意的なものが感じられない真摯な音楽づくりを施してくれています。そのうえで、例えば第1番の最終楽章で見られるように、ジックリとした歩みのもとに音楽を昂揚させてゆくなど、風格の豊かな演奏を繰り広げてくれている。
ヴェンゲーロフの美質がクッキリと刻まれている、なんとも素敵な演奏であります。





