タローによるショパンの≪24の前奏曲≫を聴いて

タローによるショパンの≪24の前奏曲≫(2007年録音)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音盤での鑑賞になります。
タローならではの、明晰にして精妙な演奏が繰り広げられています。知的でもある。とは言いましても、過度に神経質であったり、過敏であったり、といったことはない。むしろ、思いのほか、ふくよかな音楽が奏で上げられている。強音では、剛毅な雰囲気を湛えることとなってもいる。そして、激情的な性格を帯びる頻度がとても高い。
必要以上に感傷的になるようなことのないショパン演奏。
そのようなことが顕著なのは、この曲集で最も長大なナンバーとなっている第15曲目の「雨だれ」での中間部でありましょう。ここでは、強靭にして、決然とした音楽が掻き鳴らされています。厳粛な音楽になってもいる。それに続く第16曲目でも、疾駆感に満ちていて、かつ、鮮烈な音楽が鳴り響いている。
そんなこんなのうえで、全曲を通じて、冴え冴えとした音楽が奏で上げられています。贅肉の付いていない、キリっと引き締まった音楽になっているとも言えそう。そして、清潔感を帯びている。凛とした佇まいをしてもいる。そのような音楽づくりの中から、ショパンならではの詩情が立ち昇ってくる、といった演奏になっているとも言いたい。
タローは、感受性の豊かなピアノストだという印象が強いのですが、当盤でも、そのような側面がよく現れています。表現の幅が非常に広くもある。
タローならではのユニークな魅力を湛えている、素敵なショパン演奏であります。





