小澤征爾さん&トロント響によるメシアンの≪トゥーランガリラ交響曲≫を聴いて

小澤征爾さん&トロント響によるメシアンの≪トゥーランガリラ交響曲≫(1967年録音)を聴いてみました。
録音当時、小澤さんは32歳。1965年から69年にかけてトロント響の音楽監督を務めていた時期の演奏であり、サンフランシスコ響のシェフに就任する3年前の、ボストン響のシェフに就任する6年前の演奏ということになります。
さて、ここでの演奏はと言いますと、折り目正しいものでありつつも、なんとも鮮烈なものとなっています。それはもう、才気煥発たる演奏が繰り広げられている。切れば真っ赤な血が噴き出してくるかのような、生々しさを持っている演奏だとも言えそう。
目が覚めるほどに分離の良い音たちによって、立体的な音楽が奏で上げられている。そのこともあって、生気に満ちていて、かつ、起伏に富んだ演奏となっています。そう、なんともエネルギッシュで、ドラマティックな音楽が、クリアな形で奏で上げられている。煽情的で、スリリングで、躍動感に溢れてもいる。そして、眩いほどに色彩的。そのような演奏ぶりが、この作品に似つかわしい。
しかも、音楽がしなやかに息づいている。と言いましょうか、作品が嬉々として呼吸しているように思えてならない。
1980年頃を境にして、小澤さんはレコーディングにおいては「安全運転」が目立つようになったと感じているのですが、この演奏は、そのような性質とは180度異なるもの。アグレッシブな演奏ぶりが、率直な形で示されています。しかも、そのような態度が空転することなく、この作品が蔵している生命力を余すところなく解放してくれている。その様は、誠に痛快でもある。
若き日の小澤さんの、瑞々しくも豊かな音楽センスと、卓越した技量とを実感することができるとともに、この作品の魅力を味わい尽くすことのできる、唖然とするほどに素晴らしい演奏であります。






