アルゲリッチによるバッハ集を聴いて

アルゲリッチによるバッハ集(1979年録音)を聴いてみました。収められているのは、下記の3曲。
トッカータ BWV911
パルティータ第2番 BWV826
イギリス組曲第2番 BWV807
情念の塊のようなバッハ演奏だと言えましょう。熱いパッションが迸っている演奏でもある。
とてもエモーショナルで、ロマンティックな演奏が繰り広げられています。そして、なんとも生々しい音楽となっている。奔放でもある。
そんなこんなによって、激流のようなバッハ演奏だと言えそう。起伏に富んでもいる。
しかしながら、ただ単に激しいだけであったり、ドラマティックなだけであったり、といったものでないのが、この演奏の凄いところ。ロジカルな、と言いましょうか、カッチリとした構築感の備わっている演奏でもあると思えるのです。更に言えば、潤いがありながら、ちょっと乾いた感覚を伴っているポキポキとした音楽が鳴り響いている。音の粒が立っていて、明晰な演奏となっている。そのようなこともあって、音楽のフォルムが崩れるようなことがないのであります。
エモーショナルでロマンティックだと言えば、その辺りに関しては、グールドのほうがずっと上でありましょう(もちろん、グールドによるバッハも、十二分に構築感の備わったものであると考えております)。そう、ここでのアルゲリッチ奏で上げているものは、現代的な感覚が横溢していながら、古典的な佇まいも併せ持っているバッハ演奏となっているように思えるのです。
個性的で、かつ、とても魅力的で、聴き応え十分なバッハ演奏であります。





